皆さんは、2025年の大阪・関西万博の“テーマ“について考えたことがありますか?
万博のテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』(Designing Future Society for Our Lives)。
このテーマは、史上初めて「いのち」を正面から扱う万博です。
この記事では、タイトルやコンセプトを深く解説していきます。
- 「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの背景と意図
- 「未来社会の実験場」というコンセプトを具体的に読み解く
- 「個人の内面的変革」と「社会システムの変革」を別々に扱わない
まずは、テーマとコンセプトの意味を整理しよう!
- テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン
- サブテーマ1:Saving Lives(いのちを救う)
- サブテーマ2:Empowering Lives(いのちに力を与える)
- サブテーマ3:Connecting Lives(いのちをつなぐ)
- コンセプト:未来社会の実験場
テーマとコンセプトを深く考える前に、まず「テーマ」と「コンセプト」の意味の整理が大切です。
“テーマ”とは、企画やプロジェクトの「お題」や「主題」であり、”コンセプト”とはそのテーマをどのように具体化・実現するかという「切り口」や「指針」を示すものです。
サブテーマとは、テーマに対する小さな問い掛けや焦点です。言い換えれば、テーマに対する結論を導き出すために考えるべき小さな問いとも言えるでしょう。
例えば、とある自動車の場合テーマが「人と地球にやさしい移動のかたち」の場合、コンセプトは「ドライバーも歩行者も笑顔になれる、静かでクリーンな街づくりに貢献する車」になるでしょう。サブテーマは
- エネルギーを節約する:電動化・軽量化など、省エネ技術で環境負荷を減らす。
- 人をつなぐ:カーシェアや自動運転で、人と地域をつなぎ交通を効率化する。
- 移動に力を与える:高齢者や障がい者など、すべての人が自由に移動できる社会を目指す。
が考えられます。
今回の大阪・関西万博の場合、テーマは未来社会の理想像を示し、コンセプトはその理想を実験を通じて具体化していく方法を示しています。
- テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン(主題)
- サブテーマ:いのちを救う、いのちに力を与える、いのちをつなぐ(副題)
- コンセプト:未来社会の実験場(指針)
テーマの深掘り『いのち輝く未来社会のデザイン』の意味
『いのち輝く未来社会のデザイン』とは、いったい何を意味するのでしょうか?
大阪府や大阪・関西万博の公式ページでは、次のように説明されています。
「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマは、人間一人一人が、自らの望む生き方を考え、それぞれの可能性を最大限に発揮できるようにするとともに、こうした生き方を支える持続可能な社会を、国際社会が共創していくことを推し進めるものです。言い換えれば、大阪・関西万博は、格差や対立の拡大といった新たな社会課題や、AIやバイオテクノロジー等の科学技術の発展、その結果としての長寿命化といった変化に直面する中で、参加者一人一人に対し、自らにとって「幸福な生き方とは何か」を正面から問う、初めての万博です。
https://www.pref.osaka.lg.jp/o030010020/bampaku_suishin/2025expo/index.html
世界は今、大きな変化を迎えています。そして、生活を劇的に変化させる革新的な技術も進歩していくでしょう。しかし一方で、先進国と発展途上国との生活環境の格差は広がっています。
https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/230710_01_study_banpaku.pdf
「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマには、世界中すべての人にとって「幸せな生き方とは何か?」を考え、「“すべての”いのち輝く未来社会」のためにアイディアを出し合ったり、解決方法を考えたりしてほしいという思いが込めれられています。
一見すると説明が少し違うように見えますが、実はどちらも同じテーマを、異なる視点から語っているのです。
大阪府は「個人の生き方」に焦点を当て、公式ページは「世界全体の共生」に焦点を当てています。
つまり、このテーマの解釈は一つではありません。個人、社会、地球という複数のレベルで考えることができるのです。
しかし、多様な解釈の中にも共通する“核”があります。それが次の3つです。
“いのち”をテーマにした初めての万博
大阪・関西万博は、”命”をテーマにした初めての万博です。
この万博が“いのち”をテーマに選んだ背景には、世界的に価値観・技術・社会構造が大きく変化しているという文脈があります。
特に、AI・バイオテクノロジーの発展、長寿命化、環境・気候変動、格差・分断の深刻化などが、「生きる」「いのち」を改めて問い直す契機となっています。
キーワードでから考える
| キーワード | 共通する意味 |
| いのち | 単に生物としての命ではなく、人・自然・技術・社会を含むあらゆる「生きる存在」 |
| 輝く | 誰かが勝ち抜くことではなく、一人ひとりが自分らしく力を発揮すること |
| デザイン | 見た目を整えることではなく、よりよい社会の仕組みを意識的につくること |
これらを踏まえると、「いのち輝く未来社会のデザイン」とは次のようにまとめられます。
「すべての“いのち”が尊重され、それぞれが自分らしく輝ける未来を、科学・技術・文化を通して共にデザインしていくこと」
つまり、このテーマの本質は、
「”一人ひとりの意識変化が、社会を変え、社会のデザインがまた個人の生き方を変える”
という相互作用(共進化)」
なのです。中心軸をうまく捉えた二軸構造の要約するなら
「個人の意識の変化」×「社会全体の持続可能性」
となるでしょう。
この2つをどう両立させるか、という問いにあります。
この「実験」という考え方が、万博のもう一つの魅力です。来場者は単に展示を“見る”のではなく、「未来を体験し、学び、考える」参加者になるのです。
万博会場内では、この「未来社会の実験」が、技術・設計・行動など、さまざまな形で展開されています。
それは大きく、「仕組みの変化(技術・設計・エネルギー利用)」と「人の行動の変化(社会的な意識)」の2つの側面から見ることができます。
大阪・関西万博であった未来技術・持続可能な様式
仕組みの変化|技術・設計・エネルギー利用の変化
仕組みの変化とは、社会の構造や技術、エネルギーの使い方そのものを変える取り組みのことです。
目的は「環境への負荷を減らしながら、持続可能な社会基盤をつくる」ことです。
万博会場全体が未来の社会モデルとして設計され、技術と設計の力で持続可能性を実証する“実験場”として機能しています。
- 木材や竹を使ったイスや建材
- 会場内の「給水スポット」(マイボトル利用促進)
- 回収したCO₂からeメタンを生成
- 再生可能エネルギーの活用
人の行動の変化|社会的な意識の変化
もう一つの側面は、人々の意識や行動スタイルを変える取り組みです。
「一人ひとりの行動を少しずつ変えることで、社会全体をより持続的にしていく」ことが目的です。
来場者が“新しい行動様式”を自然に体験できるように、会場設計そのものが工夫されています。
- エスカレーターの片側空け注意喚起
- 完全キャッシュレス決済
- 分別の徹底
まとめ
今回ご紹介したように、大阪・関西万博 のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」とコンセプト「未来社会の実験場」は、単なるキャッチコピーではなく、「個人の生き方」×「社会・地球のあり方」を問い、さらにその問いを“体験・実践を通じて解決に近づける場”を提示するものです。
この万博に込められたメッセージを、自分の学び・生活・将来設計に活かせば、「未来社会をデザインする一人」としての動きが始まります。
ぜひ、あなた自身の“いのちが輝く”未来を描いてみましょう。

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