大阪・関西万博「ガスパビリオン」の技術を解説|学問と使われる技術のつながり

大阪・関西万博

みなさんは、大阪・関西万博でどのパビリオンに入って、どのようなことを学びましたか?

今回は、理系大学生(工学部)の視点から、一般社団法人日本ガス協会が出展する『ガスパビリオン』を訪れ、体験展示やパネル展示を通して学んだ内容をわかりやすく解説します。

この記事では、「体験」の部分は簡潔に触れながらも、「どのような技術が使われているのか」「その展示にどんな意義があるのか」に焦点を当てて紹介します。

この記事を読んで分かること
  • 理系大学生視点で見る展示の学術的・技術的ポイント
  • ガスパビリオンのコンセプト概要
まとめ

理系大学生目線で見ても、構造設計・環境配慮・教育など、工学的に学べる要素が多く、とてもおもしろい展示

ガスパビリオンの概要と体験した感想

ガスパビリオン おばけワンダーランド」は、西ゲートゾーンに位置する、一般社団法人日本ガス協会が出展する体験型展示パビリオンです。

日本ガス協会とは、日本における都市ガスを供給する事業者(地方公営企業、ガス会社)からなる業界団体です。

コンセプトは「化けろ、未来!」。

来場者が“おばけ”となって未来のエネルギーを体験として学ぶことができます。

建物の外観は白を基調とした独特な三角形フォルム。光を受ける角度によって印象が変化し、未来的でありながらも環境にやさしい建築技術が随所に取り入れられています。

お化けの世界”に入るためにXR(拡張現実)技術を用いて体験者全員が”お化けに化ける”なることができ、わかりにくい化学分野を体験を通して楽しく学ぶことができます。

ガスパビリオンのコンセプト:「化けろ、未来!」

ガスパビリオンのコンセプト
  • コンセプト:化けろ、未来!

ガスパビリオンは、ガス業界が描く“未来のエネルギー”を体験的に学べるパビリオンです。

ガス業界は、石炭や石油からより環境にやさしい天然ガスに転換し二酸化炭素削減してきました。

そして、2050 年のカーボンニュートラルの実現に向けて「私たち個人の意識」や「エネルギーや技術のあり方」は”化ける”(変わる)必要があります。

つまり、技術だけが先行しても意味がなく私たち自身も意識しなければなりません。

それが、ガスパビリオンのコンセプト「化けろ、未来!」なのです。

展示は単なる技術紹介にとどまらず、“見えないもの”をXR技術を用いて親しみやすく表現するなど工夫ある展示です。

また、建物に軽量で再利用可能な膜構造を採用するなど、建物も化けやすいように設計・建築されています。

大学生が解説:ガスパビリオンの注目すべき技術ポイント

e-メタン:\(\ce{CO2}\)からつくる未来のエネルギー

e-メタンの作り方(画像引用:日本ガス協会[https://www.gas.or.jp/gastainable/methanation/])

e-メタンとは、再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)と二酸化炭素を化学反応させて生成される、都市ガスと同等のメタン燃料のことです。

化石燃料を掘り出す代わりに、二酸化炭素を「再利用してつくる」点が最大の特徴です。

二酸化炭素\(\ce{CO2}\)と水素\(\ce{H2}\)を反応させてメタン(\(\ce{CH4})\)を合成する技術は、一般にメタネーション技術と呼ばれます。

化学式で表すと、次のようになります:$$\ce{CO2 + 4H2 -> CH4 + 2H2O}$$

この反応を利用することで、排出された二酸化炭素を回収・再利用でき、実質的にカーボンニュートラルなエネルギーサイクルを実現できます。

従来の都市ガスが「掘るエネルギー」だったのに対し、e-メタンは「つくるエネルギー」として注目を集めています。

万博会場では、会場内で発生する生ごみを発酵させて得られる”バイオガス”、空気中から回収した\(\ce{CO2}\)、そして再生可能エネルギーによる”グリーン水素”を利用してを組み合わせてe-メタンを生成し、迎賓館厨房やコージェネレーション設備で実際に活用する実証実験も行われています。

関連する学問
  • 化学工学
  • 環境工学

建築技術:化ける建築、省エネ素材

放射冷却膜「SPACECOOL」(画像引用:SPACECOOL[https://spacecool.jp/technology/])

ガスパビリオンの建築には、軽量で再利用可能な膜構造(メンブレン構造)が採用されています。この構造は、建築資材を大幅に削減できるだけでなく、部材をリースや再利用することで廃棄物の発生を最小限に抑えることができます。

万博終了後には、建材を再利用して別の施設に転用できるよう設計されており、「建物が”化ける”」というコンセプトが込められています。

外壁には、大阪ガス株式会社が開発した放射冷却膜「SPACECOOL(スペースクール)」が採用されています。この革新的な光学フィルムは、太陽光や大気からの熱を反射させるだけでなく、赤外線の特定波長を選択的に宇宙空間へ放射することで、外気温が高い環境でも表面温度を下げることができる放射冷却技術に基づいています。

この仕組みは、物体が熱を赤外線として放射し、大気を通過する「8〜13 μm帯(大気の窓)」を通して宇宙へ熱を逃がすという原理を応用したものです。これにより、日射の影響を受けにくく、空調エネルギーを大幅に削減できます。

伝熱工学的には、これは放射伝熱赤外線波長選択性の融合技術であり、今後の建築物の省エネルギー化における重要な方向性を示しています。

関連する学問
  • 建築
  • 伝熱工学
  • 材料工学

体験展示から見る応用技術:XRゴーグルと仮想体験

ガスパビリオンの展示では、来場者がXRゴーグル(拡張現実・複合現実デバイス)を装着し、e-メタン生成プロセスを仮想空間上で体験できる仕組みも導入されています。

XR技術を通じて、目に見えない変化を視覚的に理解できるため、学びながら楽しめる体験型展示として高い教育効果を持っています。

関連する学問
  • 情報工学
  • 教育学
  • デジタルデザイン

まとめ

『ガスパビリオン』は、遊び心ある演出を通じて未来のエネルギー社会を体感できる貴重な空間です。

理系大学生目線で見ても、構造設計・環境配慮・教育など、工学的に学べる要素が多く、とてもおもしろい展示でした。

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